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ひとひらの雪

始まりはきっと悲しさだった。
口惜しさだった。
むなしさだった。
つらさだった。
目が見えなくなった僕が見えていた僕と同じ僕であり続けるために
僕は話さなければならなかった。
僕は歩かなければならなかった。
だから少しずつそうした。
努力も継続も苦手な僕が20年もやってこれたのは
僕自身を守るためだったのかもしれない。
いつの間にかそれはやりがいになり生きがいになった。
活動は充実感を伴い出会いが勇気をくれた。
ただ立ち止まって振り返ると厳しい現実が横たわっている。
何も変化は起こっていないのかもしれないと感じてしまう。
無力感に打ちのめされそうになる。
砂漠にジョーロで水を撒いているのだろうか。
僕は無意味に踊るピエロなのだろうか。
答えを欲しがる自分を情けなくも思う。
静かな気持ちで空を眺めた。
友人から聞いた雪の話を思い出した。
雪は地面に降りた瞬間に消えていく。
数えきれない雪が消えていく。
それでも降り続ける。
ただ降り続ける。
そしてある瞬間から消えなくなる。
積もりだす。
一気に真っ白な世界が生まれる。
社会が変わるってそういうことなのだそうだ。
深呼吸をしたら元気が出てきた。
今年も頑張ろう。
頑張ることしか僕にはできない。
正直に話そう。
コツコツと歩こう。
真っ白な世界を夢見ながら消えていくひとひらの雪でありたい。
(2018年1月1日)