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至極の時間の結末

基本的に自由業の僕には、決まった休日はない。
スケジュールが空いた時が休日だ。
非常勤講師の仕事、講演、障害者団体の行事などで、
どんどんスケジュールは埋まる。
失明して、それまでの仕事をやめて、
何もなかった頃のことを思えば、
参加できる社会があるということはとても幸せなことなんだとつくづく思う。
ただ、年々忙しくなって、
最近は月に2回くらいの休みになっている。
今度は、年齢的な体力低下が壁になってきている。
難しいものだ。
今日は18時からの会議があるだけなので、
ゆっくり寝て、お昼過ぎまでのんびりと時間を過ごした。
ただボォーっとして過ごす。
至極のひとときだ。
家の中は、白杖は使わない。
もう30年も住んでいる団地なので、
構造も身体が記憶している。
手や身体の一部を、
わざといろいろな場所にぶつけて、
位置を確認しながら動いている。
ほとんど何も問題はない。
あえて問題をあげれば、床に寝そべっている愛犬をけとばすことくらいだ。
三姉妹だったけど、一昨年に一匹天国へ行ってしまって、
今は2匹だ。
でもこれも、足が当たった時点で判るので、
瞬間に力を抜く。
当たり方が悪くて、キャインと泣いたりするのは、年に一度あるかないかだろう。
僕は彼女達に十分気を使って生活しているのだが、
彼女達は自由気ままだ。
年に数回、決まったトイレ以外でウンチやオシッコをする。
理由は見当たらないので、機嫌のせいだろう。
今日は、機嫌が悪かったらしい。
久しぶりのゆっくりした時間、
おいしいコーヒーでもいれて飲もうと動いたら、
ウンチを思いっきり踏んでしまった。
拭いたり洗ったり、30分は費やしただろう。
掃除が終わった時には、
もうコーヒーを入れる気力がなかった。
くじけてコタツに寝転んだら、
2匹も僕の横に寝転んだ。
「あんた達のせい!」
抗議をしたけれど、受け入れられそうもない。
盲人が、踏む前にウンチを知る方法を真面目に考えた。
鼻を鍛えるしかないかなぁ。
至極の時間ももうすぐ終わり、そろそろ会議に行ってきまーす。
(2014年1月22日)