帰宅した時、一階にあるポストのカギを開けて、
郵便物を持って階段を五階まで上る。
僕の日課のひとつだ。
小学生に、カギを開けるのは大変ではないかと尋ねられたことがあるが、
慣れればそんなに難しいことでもない。
今日もいつものように持って上がった郵便物の中に、
点字で書かれた葉書があるのを僕の手が見つけた。
13歳の少女からのものだった。
先日のあいらぶふぇあのイベントの感想などが書かれていた。
会場で出会った時のことを思い出した。
講演の後、少女はお母さんと僕のところに来た。
口数の少ない少女は、
折り紙で作った赤いバラを、
僕の手にそっと乗せた。
そのバラにも、僕が誰からもらったか判らなくならないように、
点字で書いた名札がつけてあった。
10歳の時に僕から教わった点字を、
少女はしっかりと使ってくれていた。
僕は講演の帰り、
その赤い折り紙のバラをスーツの胸ポケットにつけて歩いた。
どんなバラよりも、僕には愛おしく思えた。
こうしてエールをおくってくれる人達がいる。
あいらぶふぇあの後も、数え切れない人と握手をした。
たくさんのエールをいただいた。
それは光栄という感覚を通り越して、
僕を幸せにしてくれた。
頂いたエール、心の中の赤いバラに代えて、
しっかりと歩いていこう。
(2014年2月27日)