さくらのCDを聴きながら

17歳の時に出会ったのだから、
もう40年以上の時間が流れたことになる。
遠く離れた場所でそれぞれの人生を歩いているのだから、
お互いの暮らしなどあまり深くは知らない。
いつも声を聞けば、あの若い頃の彼のひきしまった笑顔を思い出す。
見えなくなって僕が得をしているのか、彼が得をしているのか不思議な感じた。
その彼から先日も2枚のCDが届いた。
「さくら」と「卒業」というタイトルのCD、
彼がパソコンで編集したものだ。
ぶっきらぼうにただそれだけが届いた。
懐かしいメロディ、どこか耳に残っている最近の曲、
部屋の中に充満して、
最後には僕の心の隙間にもぐりこむ。
部屋の中を幻のさくらの花弁が舞う。
そんな時間がとても貴重だということが、
最近やっと少しわかるようになってきた。
今年もきっと、どこかに花見に出かけよう。
見えるとか見えないとか、たいしたことじゃない。
そこに存在し、そこで呼吸できること。
それはしあわせなことなのだ。
(2015年3月9日)