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お腹いたの朝

目が見えなくても風邪もひくし体調が思わしくないこともある。
そんな日は外出するのがおっくうになる。
今朝はお腹が痛くてトイレにこもり予定のバスに乗り遅れた。
仕事に遅れるわけにはいかないのでタクシーを選択した。
最寄り駅までだったら1,300円程度かかる。
でももし移動中に駅でまたお腹が痛くなったらどうしようと不安になる。
見えないとトイレを探すだけでも一仕事になることもあるのだ。
ギリギリまで迷った後タクシーの運転手さんに行先の駅名を告げた。
最寄り駅ではなくて到着地の駅名だ。
いつもはバスと電車を四度乗り換えて1時間近くかかる場所だ。
車だったら電車より近道ということは知っていたけれども
どれくらいの時間と料金がかかるかは判らない。
腹痛に襲われた時の不安をとるか料金の不安をとるか
どちらにしても不安の中の朝となった。
乗車するなりおおよその所要時間を尋ねたら
時間は1時間くらいで料金は5千円までとのことだった。
尋ねていないのに料金まで教えてくださったのは僕の顔が不安そうにしていたという
ことなのだろう。
ちょっとほっとしながら僕はタクシーの中の時間をのんびりと過ごした。
幸いお腹の具合もいい感じだった。
結局料金は4,200円ほどだった。
想定内だったけれど何かとてももったいない気分だった。
朝からちょっと重たい気持ちを引きずりながら歩いていたら
「松永先生おはようございます。」
明るい可愛い女子学生の声が聞こえてきた。
爽やかな笑顔だった。
元気出せよとささやかれているような感じだった。
なんとなく背筋を伸ばしたら吹き抜ける風も感じた。
気分しだいで随分変わるものだな。
僕は元気を出して、お腹をよしよししながら教室に向かった。
(2015年6月4日)