雨粒

空から雨粒がこぼれてきた。
結構大きな雨粒だ。
雨粒を触って確かめられるわけでもなく
顔に当たった時の感覚だけのイメージだ。
そんな微妙なことまでイメージしてしまうのだから人間の感覚って楽しい。
イメージの信憑性を確かめたくてわざと上を向いて息を止めてみる。
顔に当たる雨粒に感覚を集中させる。
やっぱりほんの少し大きいような気がする。
雨粒が目に入らないようにそっと少しだけ目を開ける。
灰色の雲なのだろうか。
青空はすぐに脳裏に浮かぶのに雨空はなかなか浮かんでこない。
不思議だなって思いながらまた目を閉じる。
やっぱりちょっと大きめの雨粒が空からこぼれ落ちてくる。
雨が空から降れば思い出は地面に沁みこむ。
懐かしいメロディを突然思い出しながらちょっと幸せな気分になる。
(2015年6月18日)