雪景色

寒がりのはずなんだけど少し外を歩きたくなった。
使い捨てカイロを両方のポケットにしのばせて完全防備で家を出た。
戸外に出た瞬間から飛び回る雪が面白がって僕の顔を触ってきた。
容赦なく触ってきた。
それだけで僕の心も雪と一緒に飛び回りそうになった。
ゆっくりと少し大股で一歩を踏み出した。
足の裏で新雪を踏みしめる感触が伝わってきた。
間違いなく雪だ。
走り回りたくなる心をなだめながらしばらく歩いた。
そして立ち止まって手袋をはずした。
しゃがみこんで雪をそっと触った。
両手でそっとすくいあげてみた。
少し口に含んで冷たさを確認した。
それからハンカチで手を拭いてまた手袋をはめた。
立ち上がって周囲を眺めた。
首を右から左にゆっくり動かして雪景色を眺めた。
飛び回る雪は相変わらず僕の頬をつついた。
うれしくなった。
帰宅したらまずおいしいコーヒーを飲もうと思った。
(2017年1月24日)