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見えない僕と聞こえない人と

京都市盲ろう者向け通訳・介助員養成講座が開催された。
僕は視覚障害を伝える講師ということで参加した。
視覚、聴覚、両方に障害がある人はとても少ない。
そのサポートなので受講生も少ない。
どちらの障害も正しく学び障害特性も理解しなければならないから大変だ。
受講生の半分は聴覚障害の人だった。
僕の話を手話通訳の方が通訳するという形で実施された。
僕は理解がスムーズになるようにポイントは板書した。
視覚障害とはどういう状態なのか、
どうしてなるのか、
何に困るのか、
現状を分析しながら説明した。
「人間は生きているから病気をしたりケガをしたりする。
その結果障害者になることがある。
誰もなりたくないのになってしまうことがある。
だからこそ、誰がなっても参加できる社会を構築することが人間の英知だと思う」
僕はいつものように当たり前のことを説明した。
そして、最後に、人間の生きる力の素晴らしさも付け加えた。
講座が終了して会場を出る時に、数人の聴覚障害の方と握手した。
聞こえない人に僕はありがとうございましたと声を出した。
その瞬間、僕の手は強く握られた。
そして見えないはずの僕に笑顔が見えた。
見えないよりも見えた方がいい。
聞こえないよりも聞こえた方がいい。
でもね。
見えなくても見えるものもあるんです。
聞こえなくても話せることもあるんです。
そして豊かな気持ちにもなれるんです。
(2018年7月23日)