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パトカーの先導で

午前中の京都市内での仕事を終えてボランティアさんの車に飛び乗った。
13時から宇治市の中学校での講演の予定だった。
ボランティアさんはナビを使って、所要時間を40分くらいと説明してくれた。
食事もできないだろうからとおにぎりも準備していてくれた。
コンビニではなくてどこかの名店のおにぎりだった。
山椒シラスの具の玄米おにぎりを車中で頬張った。
僕の好みで準備してくれたさりげない彼女のやさしさをうれしく感じた。
食事が終わるとパソコンを出して事務仕事をした。
あっという間に40分が過ぎた。
ナビに従って到着した場所に中学校はなかった。
僕達は真っ青になった。
通りがかりの地元の人に尋ねたらやはり中学校は違う場所とのことだった。
3キロほどあるとのことだった。
授業開始までの時間は後15分、彼女は車を急がせた。
そして間もなくパトカーに停車を求められた。
左折禁止の場所を曲がったらしい。
僕は咄嗟にパトカーから降りてきた警察官に事情を話した。
警察官は僕が学校に到着した後で処理をすることを引き受けてくれた。
僕達はパトカーの先導で学校へ向かった。
ナビよりは遥かに確実な方法となった。
2分の遅刻だった。
体育館で生徒達は待っていた。
僕はそのまま講演をスタートさせた。
講演はいつものようにしっかりとやれた。
思いがあれば大丈夫だということは判っている。
未来を見つめればきっと伝わる。
講演の間にボランティアさんは違反切符の手続きをしていた。
やさしかった警察官もそこは負けてはくれなかったらしい。
帰りの車中ではのんびりとイチゴ大福を味わった。
先生からいただいたものだった。
安堵感が僕を包んだ。
いろいろある。
本当にいろいろある。
生きていればいろいろある。
こういうことが思い出になっていくのだろう。
とにかく、パトカーの警察官、ありがとうございました。
(2018年9月20日)