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粉雪

先日、ふと色を思い返していた。
赤色はどんな色だったか、
緑色はどんな色だったか、
山吹色はどんな色だったか、
自分の記憶のテストみたいにして挑戦してみた。
すっと脳裏に浮かぶ色もあれば、
なかなか思い出せない色もあった。
群青色や藍色、紫色などはなんとなくゴチャゴチャになって難しくなっていた。
意外と出てこなかったのが白色と肌色だった。
一生懸命に記憶をたどったがなかなかたどり着けなかった。
途中で仕方がないとあきらめた。
今朝団地を出て歩き始めたら、顔に何かが当たった。
すぐに粉雪だと分かった。
小さな粉雪がいくつも僕の顔を触った。
歩きながら感じ続けた。
やがて白い粉雪が僕の頭の中で舞い始めた。
うれしさがこみあげてきた。
僕は立ち止って空を眺めた。
真っ白な粉雪が空一面にあった。
真っ白が踊っていた。
なんとなく安心した。
記憶のアルバムは少しずつ古くなってきた。
それは時の流れの結果だ。
一喜一憂しても仕方ない。
でも、なんとなく、神様からのプレゼントみたいな気になってうれしかった。
(2019年1月10日)