鹿児島、福岡、広島、兵庫、大阪、京都、滋賀、岐阜、愛知、神奈川、栃木、群馬、
東京、千葉、埼玉、新潟、岩手、北海道。
研修会には同行援護に関わる人達が全国各地から参加した。
事業所の方もおられたしガイドヘルパーの方もおられた。
視覚障害者当事者の方もおられた。
希望者対象の研修会だから交通費さえそれぞれで対応しなければならない。
思いのある人たちがよりよい制度を目指して集うということになる。
当然、議論は白熱することもある。
僕は主催者側なので司会の係りだった。
残念ながら僕の知識は深くはない。
思いだけはあるという感じだ。
周囲の人達に助けられながらなんとかやっているという状況だ。
限られた時間の中で多くの人の意見を聞いて皆で共有する。
結構ハードな役目だ。
帰りの新幹線の中でぐったりしながら手をポケットに突っ込んだ。
帰りがけに仲間からもらった鈴が出てきた。
耳元で鳴らしたら微かにやさしい音色がした。
彼は北海道の鈴と言いながら僕の手に乗せてくれた。
研修会がどうだったかなんて一切言わなかった。
そこは大人の対応だ。
僕はもう一度耳元で鈴を揺らした。
「ご・く・ろ・う・さ・ま」
心の中でつぶやきながら鳴らした。
ほんの少しでいい。
ささやかでいい。
未来に向かえればいいんだ。
そう思ったらなんとなく安心した。
それから鈴を白杖にしっかりと結びつけた。
(2019年11月17日)