大晦日

華やかなステージの様子がラジオから流れていた。
演出が際限なくエスカレートしているのを感じた。
僕は白杖を拭きながらなんとなく聞いていた。
突然、昨日のニュースが脳裏に蘇った。
世界では飢餓に苦しむ人達が増えているらしい。
お腹を空かせて死んでいく子供達の数も伝えていた。
昔、写真週刊誌で見た少年の姿を思い出した。
ガリガリの身体でお腹だけが異様に膨らんでいた。
栄養失調の少年の姿だった。
その眼差しまで思い出した。
僕はいたたまれなくなってラジオのスイッチを切った。
ただ、無力の自分を悲しく感じた。
眠りから覚めたら、また新しい年が始まる。
この星のために何が僕にできるのだろう。
白杖を拭き終わったら少し気持ちが落ち着いた。
2020年、しっかりと目を見開いて、前を向いて歩いていきたい。
(2019年12月31日)