高校生

夏休み明けの、久しぶりの授業、
彼女は、僕と会うとすぐに、
どこかの駅で、白杖を持った視覚障害の人のサポートをしたということを、
うれしそうに報告してくれた。
僕は、ありがとうって言いながら、
右手を差し出した。
笑顔がつながった。
毎年、この高校で、
家庭看護の中の、福祉という特別授業を受け持っている。
担当教師と協力しながら、体験実習なども実施している。
今時の、普通の高校生、
きっと寝ている生徒もいるだろうし、
おしゃべりが止まらない生徒もいる。
話を聞いてくれているのかなと、
不安になることもある。
でも、年度の最後に、生徒達の書いたレポートを読むと、
伝えることの大切さを、
いつも実感する。
僕達へのエール、そして、
「これから、白い杖の人を見かけたら、サポートをします。」などの、
共に暮らす社会へ向かうメッセージが並ぶ。
報告してくれた彼女も、
白杖の人を見かけた時、声をかけていいのか、どうしたらいいのか、いつも迷っ
ていたとそして、何もしなかったと、
担当教師に話していたらしい。
何度かの授業で、彼女は理解し、そして、勇気も培った。
若者達が行動する社会は、
そのまま、未来を創造していく。
楽しみだ。
(2012年9月15日)