桜の風景

日本気象協会のHPで今年の桜開花予想日を覗いてみた。
滋賀県彦根市は3月28日だが京都市は3月22日となっている。
大津市は京都市の隣に位置するから22日過ぎくらいとなるのだろうか。
3月末には満開を迎えるのかもしれない。
まだ啓蟄もきていないのに気が早すぎるのは自覚している。
それでもそんなことを思うのは春を待っているということだろうか。
目を閉じるといくつかの桜の風景が浮かぶ。
最初に浮かぶのは若い頃に見ていた桜だ。
ニュータウンの団地が立ち並ぶ一角、ゴミ置き場の近くという不似合いな場所に桜の
巨木が悠々と立っていた。
それを見ながら通勤していたのを憶えている。
幾度も足を止めて見上げたものだ。
団地の近くの小畑川の桜も見事だった。
北山の鴨川沿いの道を勝手に桜街道とな付けて喜んだりもした。
阪急河原町駅から地上に出たところ、木屋町通りの夜桜も好きだった。
丸山公園の桜も幾度も見た。
見たことのある桜を思い出すのは理解できる。
でも、実際には見ていないはずの桜も思い出したりする。
訓練を受けていた頃のライトハウスの近くのお寺にあった桜、
舞鶴に講演に出かけた時の駅の近くの桜、
東京に出張した時に仲間と歩いた千鳥ヶ淵の桜、
池袋の公園で雪の中で見た桜、
四条河原町の料理屋さんの大きな窓から見えた高瀬川の桜、
大津市に引っ越してからの三井寺の桜、数え上げればきりがない。
見たことがない風景があるというのは不思議だけれどうれしい。
見えない僕もいくつもの春を過ごしてきたということなのだろう。
僕の人生も四季折々の中に実在してきたということなのかもしれない。
今年もまた春を迎えられそうだ。
またどこかで桜に会えたらいいな。
(2024年2月13日)