目覚め

日中の戸外、お日様の光を熱で感じることは時々ある。
顔や頭に直接当たる時などはよく感じる。
光の熱量は大きいのだろう。
熱は皮膚感覚で分かるが光は目での確認だ。
それは僕にはどうしようもない。
光を感じて目覚めるということはできなくなってしまった。
ぐっすり眠って瞼をくすぐる光で目覚める。
思い出せば、あの瞬間は幸せのひとつだったと思う。
それを失ってしまったのはちょっと悔しい。
でもないものねだりしても仕方ない。
だから僕は朝の始まりを時計で管理している。
目覚めるとグーグルホームに尋ねる。
「オッケーグーグル、今何時?」
今朝は6時23分だった。
7時間くらい眠ったらしい。
久しぶりに熟睡した。
トイレにも行かずに眠り続けたということになる。
疲れが貯まっていたことを実感した。
目が覚めても動き出そうとはしなかった。
休日で出かける予定がないのが理由だったが、目覚めの幸せを感じたからだろう。
まだ寝ぼけている頭の中に短いセンテンスが蘇った。
「全力で応援します。」
学生から届いたメールにあったものだ。
言葉が脳の中でゆっくりとほぐれていった。
短い言葉にはやさしさがあった。
説明文も修飾語もない言葉なのに力さえ感じた。
そして受け取った僕は光で目覚めた時のような気持ちになった。
微睡を愛おしくさえ感じた。
そんな言葉を使える人に僕もなれればと思う。
なりたいと思う。
(2024年6月3日)