神様が微笑んで

木曜日は大阪府の南部、藤井寺まで出かけた。
電車をいくつも乗り継いでの往復だった。
元々ケチンボなのだろう。
乗り換え回数が多くても安いルートを選んでしまう。
そしてしんどいとボヤくのだからどうしようもない。
ただ、そんな時、神様が微笑んでくださることがあるから不思議だ。
その日、乗り換え12回目の電車だった、
階段を降りかけたタイミングで女性が声をかけてくださった。
僕は有難く肘を借りて座席に誘導してもらった。
その電車はよく利用しているが、座れることは滅多にない。
声をかけてくださる人はほとんどいないということだ。
彼女は僕の横に座っておっしゃった。
「実は、今朝もお見掛けしました。でも、声をかけられなかったんです。」
わざわざおっしゃった。
彼女はそのことを後悔しておられたのだろう。
それがたまたま同じ日の夕方の帰り道で出会ったということだった。
彼女は今度は躊躇なく声をかけてくださったのだ。
そういう彼女、12回の乗り換えで疲れ切った僕、まさに不思議なタイミングだった。
僕は心からの感謝を伝えて電車を降りた。
帰宅してパソコンを開いた。
翌日からのスケジュールを確認した。
他人事みたいに凄いなとだけ思った。
それからメールチェックした。
学生から事務連絡のメールが届いていた。
「応援しています。」
カーソルを動かして、最後の一行を僕は幾度か読んだ。
恥ずかしがりやの彼女にしては精一杯のメッセージだなと感じた。
笑顔になった。
それから先日の彼女を思い出した。
ハロウィンの直前の日の講義の後だった。
僕のところにきた彼女は僕の手に小さな紙包みを載せて教室を出ていった。
帰宅して開けたらハロウィンのお菓子が入っていた。
僕は日ごろは甘いお菓子は好んで食べない。
その日はとても疲れていた。
コーヒーと一緒に食べた甘いお菓子を美味しいと感じた。
その時も思った。
ばっちりのタイミング。
神様が微笑んでくださったのだ。
(2024年11月23日)