明日は晴れ

電車から降りて階段を上り、
点字ブロックを探した。
慣れている駅なので、問題はない。
点字ブロックの曲がり角を探して、
その延長線上に突き当たれば、
多目的トイレがある。
でも、少しそれれば、迷子状態になるのだ。
ほんの少しのタイミング、わずか数十センチの判断ミスなのだろうが、
見えないって、そんなものだ。
今日も失敗して、トイレを探してウロウロ動き始めた時、
「何かお探しですか?」
女性の声がした。
彼女は、すぐに、トイレの入り口を教えてくださった。
感謝を伝えながら、ありがとうカードを差し出すと、
「小学生の息子から、話を聞きました。」
彼女は、カードを受け取りながら、うれしそうに答えた。
「息子さんに、ありがとうをお伝えください。」
僕も笑った。
僕の話を聞いてくれた子供達が、
家族に伝えてくれることがよくあるらしい。
僕の思いをしっかりと受け止めて、
風になってくれているのだ。
子供達が、子供達なりに、
見える人も見えない人も、一緒に生きていける社会を思うのだろう。
そして、思いは、力となる。
たった10歳くらいの子供達が、こうして、大人達を動かしているのだ。
凄いなと思いながら、感謝する。
思いは、優しさにも変化する。
今日僕に届いた50通近くのメール、
1通は、小学校5年生の女の子からのものだった。
「今夜は、星がいっぱいできれいです。」
たったそれだけの言葉が、
疲れたオッサンに、笑顔で寄り添う。
心にしみこんでくる。
明日は晴れだな。
(2013年11月19日)