祭りのあと

視覚障害リハビリテーション研究発表京都大会の大会長を引き受けたのは、
2012年の暮れだった。
2013年の1月からは、毎月実行委員会が開催された。
京都ライトハウス、京都府視覚障碍者協会、関西盲導犬協会、
京都視覚障碍者支援センター、
様々な団体からの委員の参加なので、
会議のスタート時間は18時からで、帰宅は22時を過ぎることもあった。
それぞれの専門家が、それぞれの希望を胸に秘めて参加していた。
時には熱い議論もあった。
僕には、実際には理解しきれない高度な議論もあったし、
登場する専門家の氏名でさえ、ほとんどが知らない名前だった。
とにかく、少しずつ準備を進めながら、大会の開催に向かった。
そして、当日が訪れた。
18日のライトハウスでのプレセッションから、
19日、20日の同志社大学寒梅館での大会、
眼科医、看護師、大学の研究者、歩行訓練士、相談支援の関係者、教育関係者、
たくさんの参加者の皆様が日本中から集まられた。
僕は、日本中の仲間が笑顔になれる社会、
これから視覚障害になる後輩達が夢を語れる未来、
ただそれだけをイメージしながら開会の挨拶をした。
そして、三日間、参加者の皆様に感謝を伝え続けた。
盛会な大会となった。
参加者の皆様が、また新しい決意をお土産に会場を去り、
機材の撤収などが終わった寒梅館は祭りのあとの静けさに包まれた。
静けさの中を歩きながら、
挨拶を交わした関係者、握手をした視覚障害の仲間、数えきれない人達を
僕は思い出していた。
僕は誰一人、顔を思い出すことはできない。
でも、同じ未来を見つめて歩くことだけは確認できた三日間だった。
僕は参加してくださった皆様にはもちろんのことだが、
一緒にこの大会に臨んだ実行委員の仲間に心から感謝して、
首からぶらさげていた大会長の名札をはずした。
(2014年7月21日)