目薬

視覚障害リハビリテーション研究発表京都大会、
大きなイベントなので、
準備はもちろんのこと当日の運営なども大変だった。
数えきれないくらいのボランティアの方々が動いてくださった。
日常的に視覚障害のボランティア活動に関わっておられる方はもちろん、
この日だけとか、この時だけとかの方も多くおられた。
その中には、僕が関わっている福祉や医療の学校の先生方や学生達の姿も見られ、
とてもうれしく感じた。
一般のボランティアの中には、目薬で有名な製薬会社の社員の方々もおられた。
僕は最後に、その方々に御礼を伝えて頭を下げた。
会社名を聞いて目薬を思い出したら、
なぜか自然に、頭が深々と下がった。
もう僕に効く目薬はない。
どんな目薬をさしても、何かを見ることはできない。
でも、目薬の会社の方々が、汗だくになりながら、
この大会を支えてくださったのだと思うと胸が熱くなった。
そして自然に、頭が深く下がった。
医学はパーフェクトではない。
どんな医療でも治らない病気もあるし、
障害者になってしまう人もいる。
それは仕方のないことなのかもしれない。
でも、共に生きていく人間同士の絆は、
病気の人に笑顔を届けたり、
治らない人を応援したりできるのだ。
感謝を伝えて頭を下げた瞬間、
あの目薬のあとの爽快感が、
静かに僕の心に広がった。
関わってくださったすべてのボランティアの方々に、
心から感謝申し上げます。
(2014年7月23日)