やき餅

京都市北区の8つの小学校の役員の皆様が集まってくださった。
少しの緊張感の中でスタートした勉強会は、
僕の話が進むにつれて和やかな空気に変化していった。
その空気の変化は、10歳の子供達の変化と同じものだった。
僕は参加してくださった一人一人に向かい合い、心のおもむくままに語りかけた。
目が見えなくなるということはどういうことなのか、
何が困るのかどう接して欲しいのか、
そして、人間の社会の豊かさも付け加えた。
正しく理解するということ、やはり原点なのだろう。
最後の質問は、どうやってサポートしたらいいかという具体的なものだった。
それは、サポートをしたいという気持ちの裏返しなのだ。
「松永さんが風になって今日皆様に伝えられたことを、まず皆様のお子様に伝えてく
ださい。そして周囲の人につたえてください。
それが、風になってくださいということです。」
校長先生の閉会の挨拶は、
見える人も見えない人も見えにくい人も、
共に生きていく社会を見つめたものだった。
学校を出てボランティアさんの車の中で
手土産にいただいた神馬堂のやき餅を食べた。
校長室での会話を思い出した。
この地域の自然や歴史の話、
そしてそこで子供達の教育に関わる喜びが感じられる話だった。
「とっても空気がきれいな場所ですよ。」
さりげない言葉はやさしさに包まれていた。
素朴なやき餅の風味が口の中に広がった。
(2015年1月24日)