サイン

午前中は小学校4年生への子供達の福祉授業、
午後はPTAの人権講演を終えてタクシーに飛び乗り、
大学の定期試験監督にギリギリ間に合うというハードスケジュールの一日だった。
最近体力的な衰えを実感しているのだが、
17時半の試験終了の合図を確認した時は、
疲労感でいっぱいでボォーっとしていた。
「学生さん達が本を持って並んでいますよ。」
もう一人の試験監督の先生が教えてくださった。
30回の授業を受け最終日に試験を受けた学生達と教室で会うのは今日が最後の日だっ
た。
「サインをしてください。」
僕の著書を手にした学生達が並んだ。
僕は有名人でも芸能人でもない。
僕のサインに価値があるとは思えない。
でも、きっと記念にはなる。
見えない人間にサインを求めるなんて、
最初に授業を受けた時には彼女達自身も想像できなかっただろう。
40歳まで見えていた僕は、
一応名前くらいは書けるし、授業中も何度も板書はしていた。
授業が進み理解が深まるにつれて、
学生達は何ができて何が困り、
それにはどう対処すればいいのかを学んでいった。
キラキラと輝いている学生達ひとりひとりに、
僕は心をこめてサインをした。
感謝の気持ちでいっぱいになりながら、
先ほどまでの疲労感は消えていた。
今日一日のすべての場所で確認できたこと、
正しく知る機会がとても大切だということ。
まだまだ年齢を感じるようではいけないなと反省しました。
まだまだ頑張ります!
(2015年1月30日)