沈丁花

4時45分にセットした目覚まし時計は忠実にその時刻を知らせる。
もう少し眠らせてあげようかなどの配慮はない。
起きるという行動へのストライキでもしようかという思いが一瞬脳裏をかすめるが、
行動に移すだけの勇気もない。
ダラダラと起きだしてトイレと洗面をすませ、
コーヒーとシリアルの朝食をすませる。
6時にタクシーに電話して桂駅へ向かう。
7時過ぎの京都駅、結構な人が朝を始めている。
忙しい人も多いんだなと不思議な感じ。
企業戦士でもない僕は早朝に動かなければいけない会議が続くと閉口してしまう。
それでも行くのだから、どこかで大切な仕事と割り切っているのだろう。
午前中の総会と午後の研修会、高田馬場の日盲連を出たのは17時を過ぎていた。
玄関を出て数歩歩いたところで、
沈丁花の香の塊に出くわした。
ほとんど風もない夕方の状態、
きっと神様が置いてくださったのだろう。
粋なプレゼントだな。
香りの中で脳がぼんやりとした。
なんとなく笑顔になった。
(2015年3月16日)