深夜のメール

今年の夏も特別講座や研修などで多くの学生達と出会った。
福祉や教育や医療を学ぶ学生達だ。
月末には大阪の視能訓練士を目指す学生達への講座があるのだが、
それを入れると結局8月の中で10日間は学生達と出会っていたことになる。
暑い中での各地での講座などは体力的には厳しいのだけれど、
成長する学生達を目の当たりにすると、
未来につながっていくような気がしてうれしくなる。
先日も深夜0時のちょっと前に、
突然のメールが届いた。
「講義を受けて少しでも視覚障害者のみなさんの気持ちを知ることができ、
本当によかったとおもいます!
ありがとうございます!
それ以外でも福祉に興味を持ち出したら、
視覚障害者の人に限らず、困っている人をたくさんみつけるようになりました。
もっともっと役に立てるように、困っている人に勇気をだして声をかけてみます!♪
おやすみなさい。」
学生の飾らない心の言葉が、
パソコンのイヤホンから僕の心に沁みこんだ。
僕は日常無意識に閉じている目を開いてみた。
いつもと変わらないグレー一色の世界が目前にあった。
もうすっかり慣れてはいるのだけれど、なんとなく不思議な感じがした。
悲しいとかの感情はなかった。
18歳の少女のぬくもりが、
グレーという色をやさしくさえ感じさせてくれていた。
「ありがとう。おやすみ。」
僕は小さな声でささやいてパソコンを閉じた。
(2015年8月21日)