後期高齢者の先輩

もう後期高齢者なんだけどなと笑いながら、
先輩は研修会に参加されていた。
地域の視覚障害者リーダーとしてずっと長い期間活動を続けられ、
経験も知識も僕なんかよりははるかに高いレベルであるのは判っていた。
先輩かあらすれば僕の研修会での講義の内容はお粗末だったに違いない。
でも先輩は一切そんなことはおっしゃらなかった。
「和やかに有意義な三日間を 楽しく共有できました。
又一つ出会いの輪が広がり 新しい知識・技術の上書きができたと思います。」
先輩から届いたメールにはそう記してあった。
先輩達の時代背景を想像すれば、
僕の何倍も悔しい思いをされて生きてこられたのは間違いない。
だからこそ、こうして活動されてきたのだ。
人間が蓄えた悲しみは、
長い時間の中でやさしさに変化することがあると聞いたことがある。
メールの最後には美しい日本語が並んでいた。
「休む間もなく次々にご活躍の場が控えていることと思いますが向寒の折から
健康にはくれぐれも留意ご自愛の上ご活躍されますよう祈念します。」
メールを読み終えた僕の目から熱いものがこぼれそうになった。
そして、後輩にこんな言葉を贈れるような人になりたいと思った。
そのためには僕が蓄えたものはまだまだ少な過ぎる。
もっともっと僕は僕を見つめて生きていきたい。
(2015年12月7日)