秋色

雨上がりのせいかもしれない。
澄み切った空気が感じられる。
湿度と温度と風力とのバランスが絶妙なのだろう。
秋のマジックだ。
思いっきり顔を上に挙げて空を眺める。
根拠はないのだけれどやっぱり高い気がする。
無意識に深呼吸する。
突然17歳の頃の映像が蘇る。
色鮮やかな山道を無免許のバイクで駆け抜けた。
暴れ出しそうな心を織りなす色が包んでくれていたような気がする。
誰と行ったのか、どこだったのか憶えてはいない。
秋だったことだけは確かだ。
秋の中で生きていた。
失った色を求めることはしない。
でもほんの少し感じられる自分でいたい。
せっかくの秋だもの。
(2017年10月8日)