蒼い匂い

少し湿度も感じる無風の朝、
団地を出て歩き始めてすぐに気づいた。
草刈りの後の蒼い匂いだ。
団地の草刈りは毎年梅雨が始まる前に実施されている。
今年ももうそんな時期になったのだ。
もう一度鼻をピクピクさせて匂いを嗅ぐ。
やっぱり蒼い匂いだ。
ささやかな気づきにささやかな喜びが宿る。
生きているんだなとなんとなく自覚する。
生きていることを幸せだなと何故か思う。
生きてこれたことを幸せだと何故か思う。
そしてそっと空を見上げる。
(2018年5月28日)