車内販売のホットコーヒー

視覚障害者の外出の支援をする専門家をガイドヘルパーと言う。
その制度が同行援護だ。
僕達にとってはとても大切な制度ということになる。
制度を研究して国に要望をしたり研修会を企画しているのが同行援護事業所等連絡会
という団体だ。
会議や研修会などは定期的に開催されるが、
僕はその運営委員で副会長もしているので休むわけにはいかない。
同行援護の新しいテキストの執筆にも関わってその回数は増える一方だ。
開催場所はほとんどが東京だから毎月のように東京へ行っている。
研修によっては宿泊を伴うものもあるから年間かなりの日数をつぎ込んでいるという
ことになる。
交通費と宿泊費は補償されるが日当などはない。
収入のない仕事だ。
収入がないということは仕事という表現はおかしいのかもしれないが、
僕にとってはとても大切な仕事という認識だ。
頑張れば日本中の仲間の笑顔につながっていく。
その思いだけがエネルギーになっているのかもしれない。
それでも京都に帰る新幹線の中ではいつもぐったりしている。
自分のキャパ以上の仕事なのかもしれないし、
脳を酷使するからかもしれない。
疲れているとわがままな心をなかなか抑えられない。
いつも100円のコンビニコーヒーを愛飲している僕が
つい車内販売のコーヒーを注文してしまう。
自分へのごほうびと言い聞かせながらゆっくりと味わう。
やっぱりおいしい。
また次も頑張ろう、自然にそう思えてくる。
ごほうびは大切だとしみじみ思う。
320円のごほうびです。
(2018年9月6日)