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人生の先輩

「70歳になって宿題があります。」
ライトハウスで訓練を受けている先輩からメールが届いた。
視覚障害者としては僕が先輩だが人生では彼女が先輩だ。
彼女の近況報告はユーモラスに書かれてはいたが、
そこには現実を受け入れて前に進んでいく姿があった。
僕が失明したのは40歳の頃だった。
体力も気力も充実していた。
年齢とかどの部分がとかを論じても意味がないことは知っている。
でも還暦を過ぎてからの障害はまた違う難しさがあるのは想像できる。
次の一歩を踏み出すのにエネルギーは必要だ。
それでも人は結局は歩きだしていく。
人間の生きる姿は美しいといつも思う。
歩きだしながら本来の自分を取り戻していくのだろう。
いや見えても見えなくても変わらない自分に気づくのかもしれない。
「この歳になって、その上見えにくくなった私に出来ることは一つ。
祈ることだけです。
私にかかわって頂いておられる方々、日々祈っています。
又、どこかでお会いできたら嬉しいです。」
人生の先輩はやはり先輩だ。
生きていく美しさを僕に思い出させて、どこに向かうかもそっと教えてくださった。
やっぱり人間って素晴らしい。
先輩が無事訓練を終えられることを心から祈っている。
(2018年10月2日)