冬の朝

まだ始まったばかりの朝の中を歩く。
冷たい風が冬を主張している。
無意識に息を吐いてみる。
息が白くなるのは見えないのにそうしてしまうから不思議だ。
コートの襟を立てて手袋をはめて歩く。
白杖の動きは季節に無関係だ。
左右にしっかりと振りながら歩く。
僕の日常がそこにある。
いつの間にか地域の風景にも溶け込んできたのだろう。
「おはようございます。」
すれ違いざまに挨拶をしてくださる人がいる。
落ち葉を掃いている箒の音がした。
「おはようございます。ご苦労様です。」
僕の方から声を出す。
「おはようございます。気をつけていってらっしゃい。」
初老の男性の返事の声をうれしく感じる。
「行ってきます。」
僕は元気に返して朝の中を進む。
いい一日になりそうな気になる。
(2018年12月14日)