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つくつくぼうし

台風の過ぎ去った翌日、つくつくぼうしが鳴いていた。
あの風の中でどうやって過ごしていたのだろう。
どうやって呼吸ができたのだろう。
想像さえできない。
人間はいろんなことを知っているつもりでも、
本当はほとんど分かっていないのかもしれない。
セミが鳴いていると勝手に決めているけど、
ひょっとしたら話しているのかもしれない。
セミも小鳥も動物達もお互いの言葉を理解していて、
人間だけがそれができないとしたら・・・。
そこまで考えて、怖くなってふと我に返った。
「よく頑張ったね。もうすぐ夏も終わるよ。」
つくつくぼうしに向かってつぶやいた。
それから、空を眺めた。
息を深く吸った。
両手で白杖を持っている自分に気づいて、セミみたいだなと思った。
(2019年9月24日)