タンタンメン

総会と研修会が東京で開催された。
あまり役には立っていないのは自覚しているが一応役員という肩書がある。
無事終えて安堵したのは間違いない。
新幹線に乗る前にタンタンメンを食べに行った。
ミシュラン一つ星のお店だ。
タンタンメン一杯千円、自分へのささやかなご褒美だ。
営業時間は11時から15時までらしい。
小さな店内には5人くらいしか入れない。
1時間くらい並んだ。
やっと僕の番がきてひとつしかないテーブル席に案内してくださった。
何もおっしゃらなかったが白杖に気づいての配慮だったような気がした。
白いどんぶり、オレンジ色のスープに自家製の麺が適量で入っていた。
まずスープを味見してそれから一気に食べた。
舌が喜び胃袋が喜び脳が喜んだ。
自然に笑みがこぼれた。
黙々と食べて次のお客さんと交代するという感じで時が流れる。
不思議な幸せが店内に満ちていた。
見えなくなってから、元々の食いしん坊が余計に成長してしまったような気がする。
食べるということは見えなくても十分に楽しめることなのだろう。
そして当たりに出会えれば必ず幸せになれる。
幸せを求めて生きていくのは目には関係ない。
そんな言葉をいつの間にか衒いもなく言えるようになった。
僕は僕でいいのだと気付いたのだろう。
インスタ映えとまではいかないが、今年の総会とタンタンメンが並んで僕のアルバム
に残った。
(2022年6月22日)