庭の片隅に広さ3畳くらいの小さな畑を作っている。
畑の周囲はブロックで囲んである。
どの方向から歩いても作業靴がブロックにぶつかるので分かりやすい。
ちなみに自宅では室内は勿論だが庭でも畑でも白杖は使っていない。
室内では壁や手すりなどを触りながら動いているし、テーブルや椅子などにぶつかっ
て位置を確認している。
マットやジュータンを踏んだ感覚も情報のひとつだ。
庭では家の壁、玄関の柱、木の枝、ロッカー、植木鉢、エアコンの室外機、いろいろ
な物を触ったりぶつかったりしながら歩いている。
手をメインにして身体中がセンサーになっているのだと思う。
その手は分かりやすいようにわざと軍手はしていない。
木の枝とかが直接顔に当たるのは嫌なので麦わら帽子だけはかぶっている。
畝は2メートル程度の短さだが3本ある。
苗を植え付けたり肥料を与えたりの管理は畝と畝の間を通路にしてやっている。
間違って畑に入らないように通路にはロープを張っている。
このロープを手で触って確認してから通路に入るのだ。
今年も夏野菜の苗を植えた。
ミニトマト、キュウリ、ゴーヤなどだ。
ピーマンは初挑戦だ。
オクラは昨年失敗したので今年はあきらめた。
相性が合ってしまったのか虫のエサになってしまったのだ。
強い薬などは使わないようにしているのでどうしようもなかった。
植え付けて3週間が過ぎた。
恵みの雨も時々降ってくれているし、気温も上昇してきている。
毎日のように見ている。
僕が見るというのは触るということだ。
そんなに急に成長するはずはないのだがちょっと大きくなったような気になる。
そして喜んでいる。
小さな幸せがそこにある。
小さいけれど本物の幸せだ。
本物の幸せはだいたいが小さいサイズなのだと感じるようになってきた。
そしてあちこちでかくれんぼしている。
あちこちというのは特別な場所ではなくてまさに日常だ。
見つけた時を幸せっていうのかもしれない。
たくさん見つけたいとは思わなくなった。
でもちゃんと見つけたいと思う。
(2024年5月22日)