情熱

昨日の朝、6時29分の始発のバスで出発した。
背中にはいつもの大きめのリュックサック、左手には黄色のキャリーケース、右手には白杖があった。
地元の駅から普通電車に乗車し、京都駅で新快速電車に乗り換えた。
さすがに朝の通勤ラッシュだったので駅員さんにサポート依頼をした。
8時に新大阪駅東口で関係者と待ち合わせだった。
ギリギリで間に合った。
コンビニで昼食を買い求めて学校に向かった。
専門学校で医療事務などを学ぶ学生達への講義だった。
8時40分から、途中40分の昼食を挟んで13時40分までとハードだった。
「困っていそうな視覚障害者の人を見かけたら、サポートできる人になりたい。」
講義の最後に18歳の若者がくれた言葉、何よりもうれしかった。
終了後はそのまままた新大阪駅に向かった。
学校が駅と近いのは有難かった。
14時過ぎの新幹線に乗車した。
車内ではパソコンをネットにつないで仕事をした。
気分的にはのんびりと過ごせた。
東京駅で関係者と合流して、大塚駅近くのホテルに直行した。
チェックインの後、近くの食堂で簡単に夕食を済ませた。
翌朝の朝食のパンとヨーグルトをコンビニで買って部屋にもどった。
シャワーを浴びてちょっと横になるつもりだったが、気づいたら深夜だった。
そのまま寝込んでしまったらしい。
起きてしまったら寝付けないのは高齢者になってきているということなのだろう。
再度眠ることはあきらめて、キャリーケースの荷物整理などをして朝を迎えようとしている。
ホテルの部屋は静かで空調は快適だ。
アイフォンで音楽を聞きながら、持参したイノダコーヒーを飲みながら、好きな時間のひとつだ。
昨日からを振り返りながら、ふと思う。
何も見えない僕がこうしてここにいる。
昨日の早朝に滋賀県の自宅を出発し、大阪で仕事をし、そして東京で夜を迎えた。
今日からまた4日間連続の同行援護の研修に参加する。
このハードなスケジュールをこなしていく自分を自分で凄いなと思ってしまう。
素直に褒めてあげたくなる。
見えなくなった頃、一人で外出なんて怖くてできなかった。
一歩踏み出すにもエネルギーが必要だった。
歩行訓練を受けたことがその後の僕の人生を支えてくれた。
当時指導してくださった先生方にあらためて感謝だ。
それにしてもこの力はどこからくるのだろう。
自分自身が噛みしめた悔しさなどが力に変わっているのは間違いない。
日本中の視覚障害者が笑顔で社会参加できるようになって欲しい。
同行援護という制度はきっとその力となる。
僕の中に確信みたいなものがあるのだろう。
小さいかもしれないが、情熱が僕を支えてくれているような気がする。
今日からの研修、心をこめて取り組もう。
(2025年9月18日)