20年目のサイン

僕のホームページには「今後のスケジュール」がある。
ここには活動に関する予定を掲載することにしている。
講演依頼の際などの参考にもなっているようだ。
ある中学校での20年ぶりくらいの講演の予定、
彼女は、いや正確に言えば彼女のお母様がそれを見つけてくださったらしかった。
彼女の母校だった。
20年前に彼女はその中学校で僕の講演を聞いてくれたのだ。
僕が関係している施設に問い合わせが届いた。
本にサインをして欲しいとのことだった。
中学校の近くのカフェで再会した。
20年くらい前の僕の話を彼女は見事に憶えていてくれた。
ほんの少しかもしれないけれど、彼女の人生の応援歌になっていたことを知った。
光栄だと思った。
看護師の彼女はわざわざ休みを取って駆け付けてくれたのだった。
僕は心を込めてサインをした。
その後の二人での記念写真にも応じた。
「いい仕事をしてね。」
僕は別れ際に握手をしながら伝えた。
彼女の満面の笑みがそこにあった。
僕は著名人でも芸能人でもない。
僕のサイン、価値はない。
それでも時々求められる。
最初の頃は恥ずかしさが大きくて戸惑った。
でも、いつの間にか不通に応じられるようになった。
図太くなったのではない。
「ありがとう」を伝えるひとつの方法だと思えるようになったからだ。
そして、間違いなく記念にはなる。
有難いことだと思う。
(2025年11月16日)