秋から冬の終わりまでは外出時にスーツを着ていることが多い。
立襟のマオカラーのスーツだ。
ドレッサーの中には一般のスーツは2着しかない。
他はすべてマオカラースーツということになる。
マオカラースーツはネクタイなしで着られるのが気に入っている。
スーツは上下が同じ生地で同じ色だ。
中にどんなシャツを着てもあまり違和感はない。
見えない僕にはとても有難い衣類なのだ。
マオカラースーツを知ったのはもう30年以上前、目が見えている頃だった。
その頃、紳士服のお店には結構あった。
少しずつ姿を消していった。
人気がなくなったということなのだろう。
最近は見つけるのが大変になった。
でも、今更一般のスーツを着てネクタイをしようとは思わない。
時代遅れの格好なのかもしれないが自分では気に入っている。
マオカラースーツの上着に袖を通す時の感覚も好きだ。
理由は分からない。
これから社会に参加するというようなスイッチの意味もあるのかもしれない。
僕にとってはユニフォームなのだろう。
とにかくまた今年も、マオカラースーツの季節が始まった。
生きていく淋しさと生きているぬくもりと、
マオカラースーツを着る時、そんなことまで感じてしまう瞬間もある。
不思議だ。
秋とか冬とかの季節と連動しているからかな。
僕の人生も秋から冬に差し掛かっているのかもしれない。
(2025年11月25日)