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ガイドヘルパー講座の最終日、
予定の内容を終えて、
少しの疲労を感じながら会場を後にした。
早速、講座を受けてくれていた女性が僕の手引きをしてくれた。
疲労は決して重たいものではなく、
自分なりに精一杯取り組めた後の、
快い部類のものだった。
僕は彼女の肘をつかんで、
身をゆだねた。
去年の今日、僕達は他人だった。
それがこうして、命を預けて歩いている。
友達とか近所の知り合いとか、そのレベルではない。
ひょっとしたら、恋人や家族に近い関係かもしれない。
僕は、彼女の名前さえ正しくは判っていない。
でも、人間同士の絆が、間違いなく存在していた。
僕は歩きながら、
先週行った小学校で、
「宝物は何ですか?」という質問があったのを思い出した。
「いっぱい出会える、素敵な人達が宝物だよ。」と答えた。
街灯の明かりの中で舞い踊る雪の姿を、
彼女は僕に伝えた。
もう、いつ見たのかも忘れてしまった雪の画像が、
フラッシュバックした。
僕はきっと、もう二度と、それを見ることはないだろう。
それは、悲しいことなのかもしれない。
でも、絆は、その悲しさを超えるうれしさを生み出す。
雪の映像がフラッシュバックした瞬間、
僕はうれしくて、かぶっていた帽子を脱いだ。
顔にあたる雪を、愛おしく感じた。
(2013年1月27日)