誠実そうな声

午前中は、京阪淀駅の近くの小学校で、
PTAへの講演だった。
何とかなるだろうと、
一人で行ったのだが、
駅に到着して、トイレに行きたくなった。
知らない駅なので、構造などはまったくわからない。
僕は足音に向かって声を出した。
「トイレを教えてください。」
「少し遠いですが、このフロアにありますよ。」
声からして誠実そうな若い男性が、
足を止めてくれた。
そして、手引きで連れて行ってくれた。
朝の忙しい時間だったと思うが、
彼は気持ちよく手伝ってくれた。
多目的トイレに着いて、
僕は感謝を伝えた。
「お気をつけて。」
やはり、誠実そうな声だった。
講演の後、ホームページの読者という方と出会って、
一緒にランチした。
それから、午後の約束に間に合うように町家カフェさわさわへ向かった。
さわさわには、お客様の中に、ガイドヘルパー講座の受講生だった女性がおられて、
再会を喜んだ。
用事を終えて、
次の会議の場所への移動の準備を始めた時、
僕を待っている人がいることを、
スタッフが伝えてくれた。
さきほどの女性の学友だった。
僕がさわさわにいることを、
彼女がメールで伝えて、わざわざ来てくれたらしい。
僕の前に、誠実そうな若い男性が立っていた。
僕は、握手した。
短い言葉のやりとりに、
彼が、僕達にエールをおくってくれているのが伝わってきた。
見も知らぬ人達が、こうして応援してくださる。
人間って本当に素晴らしい生き物だ。
それにしても、誠実そうな声の男性、いいなぁ。
人は、自分にないものに憧れるが、
まさに僕はそうです。
誠実さが伝わる今日の二人の男性、
かっこいいなと思いました。
(2013年10月29日)