蝉時雨

8時15分、ラジオから流れてくる鐘の音に合わせて、
一分間の黙祷に参加した。
67年前の広島にも、真っ青な夏空が広がっていたという。
その瞬間、この蝉時雨も静寂に変わったのだろうか。
当たり前の夏の朝の騒音が、平和の中にあることを知る。
67年前のその時、視覚に障害のある人達はどうされたのだろう。
昨年の東北の大震災でも、障害を持った人達の死亡率が、
もっていない人の倍以上だとの報告があった。
僕達が生きていくこと、それは、平和の象徴のひとつだ。
そして、どれだけ普通に生きていけるかは、そのまま、社会の成熟度のものさし
になる。日本の視覚障害者数は、31万人。
そのほとんどが中高年だから、
視覚に障害を持った若者の数は、蝉時雨の中の、数匹の蝉の声かもしれない。
でも、耳を澄ませば、きっと聞こえてくる。
視覚に障害を持った若者達の会、きららの会、
リンクに追加しておいた。
(2012年8月6日)