夏空

世間はお盆休暇なのだろう。
いつもは結構込んでいる7時過ぎのバスは僕以外の乗客は一人だけだった。
駅もまばらな人だったし電車も混んではいないようだった。
それでも空席を探せない僕はいつものように立ったまま電車の中で過ごした。
JRから地下鉄に乗り換え、そこからバス停に向かった。
迷子になった。
たまにしか利用しない場所だから仕方ない。
僕は点字ブロックをあちこち探し始めた。
気づいた男性が声をかけてくださった。
僕と同世代くらいだろう。
彼の肘を持たせてもらって歩き出した。
そして気づいた。
蝉が元気よく鳴いていた。
何故かとってもうれしくなった。
このお盆の四日間は僕は同行援護の研修会のスタッフだ。
研修会には全国から関係者の方々が参加されている。
受講生の皆さんが少しでも満足してくださるように頑張らなくちゃと素直にそう思っ
た。
男性と別れてバスを待つ間に空を眺めた。
夏の青い空が広がっていた。
当たり前だけど夏だなと思った。
またうれしくなった。
(2022年8月13日)