僕はいろいろな学校に関わっているが、その内容も関わる時間数も多種多様だ。
それぞれの教育機関の特性に合わせてということだと思う。
大阪の視能訓練士養成の専門学校では毎年3時限の講義と1時限の実習を担当してい
る。
学生達は短大卒業以上の資格が前提で入学し、1年間の専門的な教育を受ける。
座学だけでなく現場実習もあり、そして国家試験に挑むのだ。
1年間の学びの期間には夏休みも正月休みもほぼなく過酷な条件だ。
僕の講義も2時限ずつ2回、土曜日に実施されている。
自分自身の将来、夢に向かっての大きな1年だ。
教室に入ると、真剣な空気が充満している。
80近い視線が僕に集中する。
僕の方も気が引き締まる。
学生達は一年後、医療機関で視能訓練士として働いているのは間違いない。
医療はパーフェクトではない。
治らない病気もある。
どんどん視力が低下している患者さん、視野が狭くなってきている患者さん、きっと
出会うだろう。
失明を感じながら恐怖に怯えている患者さんとコミュニケーションをとらなければい
けない。
そこに求められるのは視覚障害の正しい理解と適切な支援だ。
その先にある笑顔はきっと患者さんに伝わる。
僕の経験や思いが学生達に伝われば、それは結果的に、未来の視覚障害者の力となれ
るかもしれない。
いや、ささやかでもそうなりたいと思っている。
無意識に全力で学生達と向かい合っている自分を感じる。
自分自身だけのためだったらこんなに頑張れないだろう。
人は大切な誰かのためだったら頑張れるということだろう。
(2025年5月18日)