クッキー

この一週間、多くの学生達に出会った。
介護福祉士の専門学校、視能訓練士の専門学校、歯科衛生士の専門学校、それに京都
教育大学と今日の大谷大学だった。
僕はいつも、そしてずっと、視覚障害の正しい理解を社会に伝えたいと思ってきた。
自分自身が失明した時、参加できる社会がとても限られていたからだ。
見える人も見えない人も見えにくい人も、皆が笑顔で参加できる社会が目標だ。
ライフワークと言ってもいいのかもしれない。
勿論、そんな簡単なことではないと分かっているつもりだ。
でもあきらめない。
あきらめるわけにはいかない。
そのための活動のひとつが学生達に出会うということだろう。
学生達はそれぞれの立場でこれからの時代に関わっていく。
未来につながっていくのだ。
「ありがとうございました。話を聞けてよかったです。」
教室を出ていく時の学生達の言葉を聞く度に活動の意味をかみしめる。
どの学校の学生達も同じようなメッセージを僕にくれる。
まだまだ頑張ろうと思う瞬間だ。
ただ、この活動のためにはその機会が必要だ。
僕だけではどうしようもない。
これまで出会った人達、特に教育関係者が力を貸してくださることが多い。
有難いことだと思う。
今日帰り着いてすぐにコーヒータイムにした。
大谷大学の先生がお土産に準備してくださったのは話題のクッキーだった。
モロゾフが限定販売していて、手に入れるのが結構大変というものだ。
デパートの開店に並んで買わなくちゃいけないらしい。
先生はいつも、コーヒー好きの僕に合うスイーツを探してくださる。
あちこちに垣間見えるやさしさがうれしい。
口の中で溶けていくクッキーを味わいながら、先生の言葉が蘇った。
「学生達に松永さんと会って欲しいと思っていたの。」
僕と先生がつながったのは、同じ未来を見つめる眼差しなのだと思う。
教育は未来につながっていくということを僕達は信じている。
(2025年5月27日)