東山散策

久しぶりの休日、
東北からの友人を案内して、
晩秋の東山を散策した。
坂本龍馬と中岡慎太郎のお墓参りをした。
階段を数え切れないくらい上って、息を切らせて辿り着いたお墓からは、
京都の街中が見渡せる。
150年前に、この国の未来と向かい合っていた若武者たちは、
今、どんな思いでいるのだろう。
笑顔になってくれるだろうか。
僕が京都で暮らし始めて37年、
ここに来たのは初めてだ。
改めて、歴史のある町なのだと実感する。
散策を終えて、お気に入りの和食屋さんで昼食をとることにする。
早めに到着してしまった僕に気づいたおかみさんが、
まだ準備中のお店の待合に、
そっと案内してくれる。
僕は見えないのだから、
声をかけられない限り、こちらから気づくことはできない。
おかみさんのさりげないやさしさに、
ちょっとかじかんだ手と心がぬくもる。
舌も胃袋も満足して店を出て、
八坂神社に立ち寄って、
それから四条通りを歩く。
ラッシュアワーの電車みたいな人波だ。
ただ歩きながら、
幕末の頃の視覚障害者は、どうしていたのかなと思ったりする。
こうして、白杖を持ちながら、この京都の町に存在していることに感謝する。
東北の状況を聞きながら、
日本中が、もっともっと、僕達にとっても歩きやすい町になってくれるように願
う。
(2012年11月24日)