初盆

義父の初盆だったので妻の実家のある鳥取県に帰省した。
親族が集った。
30年くらい前の思い出が蘇った。
義父がお孫さんを連れて、当時僕が暮らしていた団地を訪ねてくれたことがあった。
僕からすれば甥っ子ということになる。
やんちゃな男の子を義父がうれしそうに目を細めて見ておられたのを憶えている。
昼間から花火をしたいと言ってきかなかった。
家の中も走り回っていた。
料理屋さんでもはしゃぎまわっていた。
やんちゃな男の子はそのまま大人になったのだろう。
今は建築関係の職人をしながらしっかりと生きている。
子煩悩なお父さんだ。
趣味は魚釣りらしい。
休みには海にも河にも出かけるらしい。
今回、僕に食べさせるとヤマメとニジマスを準備してくれた。
前日に釣ってきたとのことだった。
竹串にさした魚を炭火で焼いてくれた。
ニジマスは食べたことがあったがヤマメを食べたのは初めての経験だった。
絶品だった。
本物の贅沢だった。
僕には特別な宗教心はない。
でも、こういう冠婚葬祭の時に血縁が深まっていくのは間違いない。
見えない僕を親族達は暖かく迎えてくれた。
義弟はいつものように僕に敬意を払いながら対応してくれているのが分かった。
れなちゃんは子供の頃から変わらないやさしさを持ち続けていた。
旦那さんのまさる君ももうすっかり僕に慣れてくれた。
生後間もないわお君を抱かせてくれた時は感激した。
スクスクと育ってくれるようにと心から願った。
ゆうと君のお嫁さんもちょっと慣れてきたようだ。
1歳のみちちゃんもきっと見えない僕を自然に理解していくのだろう。
天国から覗いておられる義父の笑顔を感じた。
一周忌、また集いたいと自然に思った。
(2025年8月20日)