球根を植えたのは10月だった。
今日まで雪がちらついた日はあった。
積もった日はなかったと思う。
氷水のように冷たい雨が降った日はあった。
幾日もあった。
北風がウナリ声をあげた日もあった。
乾燥が数日続いた時もあった。
日毎に環境は変化していた。
この条件で人間が戸外にいたら生きていけない。
命は尽きるだろう。
そっと鉢植えの土の上を探した。
右手の指の腹で土の表面を撫でるように探した。
指が堅い芽に触れた。
間違いなくチューリップの芽だ。
今度はそれを親指と人差し指でそっとつまむようにして確かめた。
堅さが伝わってきた。
その堅さに息を飲んでしまった。
宿っていた生命の強さだろうか。
わずか50グラム足らずの球根の中に潜んでいた強さだ。
きっと鮮やかな緑色なのだろう。
緑色は太陽の光を浴びながら、やがてやさしさを生み出していくのだ。
それは赤や黄色や桃色などの花弁に変化していく。
光は魔法使いなのかもしれない。
そんなことを考えたらうれしくなった。
春が楽しみだ。
(2026年1月7日)