爽やかなスタート

のんびりと新年がスタートした。
のんびりと69歳がスタートした。
そして仕事始めの今週、充実した一週間だった。
2つの小学校と中学校と高校、370人くらいの児童生徒に出会った。
未来に向かって、370粒の種蒔ができたということになる。
バスに乗り、電車に乗り、そしてまた電車に乗り出かけた。
白杖をしっかりと握って歩いた。
リュックサックにはいつものノートパソコンと予備の白杖と飲料水を入れて歩いた。
スマホと音声時計も一緒だった。
胸ポケットにはありがとうカードとリフレッシュ用のミンティアを入れて歩いた。
相変わらず駅のホームは怖いと感じた。
白杖が幾度も通行人の足に当たった。
僕はその都度謝りながら前に進んだ。
電車はほとんど立ったまま過ごした。
慣れているはずの駅で迷子にもなった。
見えないってそういうことだ。
そしていろいろな人に助けてもらった。
近所の人、通勤で知り合った人、迷っている僕に気づいて声をかけてくださった通行
人、いろいろな人だ。
高校の授業はサプライズだった。
今年度6回のプログラム、今年初めてで今年度最後の授業だった。
授業を受けるのは卒業間近の女子高生達だった。
教室のドアを開いた瞬間だった。
「おめでとうございます。」
爽やかな声がコーラスのように教室にこだました。
最初出会った時を思い出して胸が熱くなった。
初めて教室に入った時、彼女たちは戸惑っていた。
それはそうだろう。
授業をするのは見えない人、人生で初めて出会う見えない人だったのかもしれない。
授業の数を重ねながら理解は深まっていったのだろう。
普通の授業ではなかなか返事をしないらしい生徒達が僕の授業ではしっかりと声を出
してくれるようになっていった。
そして笑顔も届けてくれるようになったのだ。
看護師や介護士を目指している生徒が多いらしい。
うれしく思った。
最後の授業は生徒達の率直な質問に答えるというものだった。
「一人で歩いていて、差別や嫌がらせみたいなことを受けることってないですか?」
ある意味、時代を映し出す質問だったのかもしれない。
僕は正直に答えた。
「それは全くないということはないよね。でも、その数の何百倍ものやさしい人に出
会えているよ。だから出かけられるんだと思う。」
「どうやってリフレッシュをしていますか?」
「どうしてポジティブになれるのですか?」
18歳くらいになるともう大人なのだろう。
生き方につながるような質問もいくつかあった。
今年の抱負も尋ねられた。
実はもうそんなことは考えていなかった。
だからその場で考えた。
「次の時代を創っていく君達にこうして伝えていくことだよ。
正しい理解が皆が幸せになれる社会につながると思っているからね。」
教えているつもりが教えられている。
僕のやらなければいけないことを未来が教えてくれる。
ライフワーク、僕にできることを今年もしっかりとやっていこう。
(2026年1月17日)